先日、地域活性活動研究のため、新潟県妻有地域(十日町市)のアート関連施設を見学して回りました。
「大地の芸術祭」というトリエンナーレ(3 年ごとの美術イベント)がこれまで5 回開催されており、妻有全域に様々なアートが設置されています。
十日町考~「大地の芸術祭」を視察して
十日町松代で展開されている大地の芸術祭の里「農舞台」は冬の展示を終えて半月が過ぎたところ。
ところどころに雪が残り、景色としてはあまりきれいとはいいがたい状況でした。
白い雪の中に展示されたオブジェは白いキャンバスに映えたことと思いますが、今の時期は、厳しい環境の中で展示されたオブジェは、補修のため解体され、移動可能なものは「まつだい雪国農耕文化センター」に運ばれていました。
ボランティアによる補修作業を経て、再展示は夏とのこと。
「農舞台」展示作品の鑑賞ウォーキングルートは、「城山散策モデルコース」が表示されており、山頂までの2時間コースと中腹までの1時間コースが案内されている。
十日町と津南町で展開している「越後妻有・大地の芸術祭」全体に共通のマークと鮮やかな芸術を意識した標識が使われており、統一感がある。が、自然が雄大すぎて、目立たない。自然を壊さない良さでもあるが、車で移動しながらの見学となれば見落としがちである。街の随所で配られている十日町観光協会発行の観光ガイドマップとの連動が望ましい。作品の変更や補修等、変わる可能性が高いので連動そのものが難しいのかもしれない。
「越後妻有・大地の芸術祭」は2町で展開している事業なので、全体を見るには今回時間がなく「農舞台」の展開を考えてみたい。
各オブジェの補修、再展示はボランティア中心とのこと。
展示スペースが、風光明媚な自然に中ということと現代アートに触れられるとのことで、ボランティアも集まり、ボランティアが来ることで、その時期、街は活性化する。また、完成した展示を見に観光客が来る。
棚田というもともとの観光資源に現代アートとボランティアという現代文化的要素が加わり、違った客層にアピールでき金が落ちる。半日視察から、「大地の芸術祭」の一部としての「農舞台」は、ボランティアに頼るという危うさはあるものの集客、活性化の面では、成功例になるのではないでしょうか。
余計なお世話かもしれないが、ボランティア抜きでの展開方法も要検討されたい。
高齢化対策として、美術学校の誘致し授業の一環に組み込み、他校との差別化とするなど。
(数年間とはいえ住民が増える、消費活動が活発化する)
松代「農舞台」を杉並活性化案の杉並Map作成へ照らしてみる。
もともとあるランドマークをいかに楽しく廻らせるか。
「農舞台」のような散策モデルコースを設け、Mapを見ながら区内を歩く目的を随所で訴求。
既存のランドマークを繋ぐ新たな見せ場の発掘と設置が命題。
十日町のように土地に余裕がなく、運営にコストをかけないように、かつ、通年展開をする上では
省スペースでメンテナンスが簡単なランドマークが望ましい。
例えば、壁画、子供たちの絵の展示、トーテムポールなど場所をとらない彫刻(小中学校で作ったもの)
替えが簡単にでき、入手しやすい展示物とする。
要所要所は、文化的、歴史的展示物があることが前提ではありますが
コースにストーリーを着けることで、歩いてみようという動機を喚起する。
2km、3km等々目安になる散歩コースの設定と案内(ストーリー、見所)。
必ず途中やゴールに飲食、お土産店を配置。地元商店への経済波及を考慮することで
展示スペースやメンテナンスでの協力を取り付ける。
宿泊客がとりにくい都市部での展開なので、リピート客を育てるために
季節ごとの区内イベントを随所で紹介、リピートを喚起する。
補足
「まつだい雪国農耕文化センター」に併設されている「まつだい郷土資料館」は、江戸時代に建てられた農家を移築し郷土資料館として運営されている施設です。
どこにでもある資料館ですが、地元の方が地元の言葉で館内を説明してくれるサービスは、博物館の説明員と違い、親しみやすさと暖かさを感じさせる。
杉並区内の民族系展示物には是非取り入れたいサービスです。
宣伝の要素としても、老人雇用の面からも検討をお勧めしたい。