棟方志功の隠れた作品を初展示

JR中央線荻窪駅近くに昭和26年から居を構えた棟方志功。 2023年、生誕120年を記念し多くの特別展示が各地で行われています。

当方で運営するスギナミ・ウェブ・ミュージアムでも、棟方志功の誕生日である9月5日に二度目のオンライン展示「棟方志功 色彩とデザイン」を公開しました。

棟方志功 といえば、信仰や望郷といった精神世界を描いた作品を思い浮かべる方も多いことでしょう。しかし疎開時代には版木の調達にも苦心し、小さくてかわいらしい作品も多く、晩年渡米した際には、なんともカラフルな肉筆画を多数制作しています。
今までの棟方志功のイメージを覆す、、とまではいいませんが、明るい色合い、ラフなライン、海外のモチーフをテーマにしたものもあり若い世代の人にも十分受け入れられやすい作品も多いのです。
また紙面構成は、どの作品も素晴らしいのですが、様々な試みが一堂に会したかのように観覧できる「流離抄」、アメリカの街角を描いた肉筆画「アメリカのスケッチ」などをお楽しみください。
また、昭和26年、現・富山県南砺市での疎開を終え、現地でお世話になった方々へのお礼として送った礼品「練径団扇」は今まで4枚組として紹介されていましたが、今回展示のための取材活動中に実は5枚組だったことが判明しました。
南砺市福光駅近くで、終戦後しばらく棟方に制作場所として場所を提供していたKさん宅を2023年9月に訪問し、桐箱に認められた 「練径団扇」 のふたを開けると、団扇命名の内紙、うすように守られた団扇が5枚現れたのです。
「棟方志功 色彩とデザイン」 では、この5枚目となる団扇を監修者より「鴛鴦図」を命名いただき初めて展示することとなりました。
ぜひ5枚そろった 「練径団扇」 で構成されたオブジェを展示室のなかで見つけてください。

スギナミ・ウェブ・ミュージアム「杉並の芸術家展 棟方志功 色彩とデザイン」